【生涯学習の観点から】日本社会におけるスポーツの必要性について

生涯学習とは

平成28年度文部科学白書、第3章生涯学習社会の実現、総論において

「生涯学習」とは、一般的には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育、家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクレーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられている。

そのなかで、スポーツ(スポーツ活動)がどのような位置づけをされているのか考察します。

生涯学習においてのスポーツの位置づけ

平成28年度文部科学白書、第8章スポーツ立国の実現でスポーツは、

  • 青少年の健全育成
  • 地域社会の再生
  • 心身の健康の保持増進
  • 社会・経済の活力の創造

など国民生活において多面にわたる役割を果たすものとされています。

要するに、スポーツすることは人々が健康で文化的な生活を営むために必要であると書かれています。

そのため、生涯学習においてのスポーツ活動が重要な位置づけであると考えることができます。

生涯学習の観点から、これからの日本社会におけるスポーツの必要性

生涯学習の観点から日本社会におけるスポーツは、社会と個人にとって必要不可欠である。

現在、日本は高齢化社会である。平成30年版高齢社会白書によると、日本は1億2671万人のうち65歳以上の人口は3515万人で、高齢化率は27.7%です。65歳以上の人口増加が止まるのは平成54年の3935万人である。

少なくともあと24年間、高齢化社会は続くと考えられる。

社会保障費の観点から

高齢化社会で医療費が増大し、平成30年度の一般会計予算における、社会保障費が全体の33.7%で約33兆円の歳出となっている。

毎年、社会保障費が増加傾向で、日本における財源は自転車操業状態です。

スポーツによる高齢者の生涯学習による「心身の健康維持」は、国にとっては財政健全化につながり、個人にとっては健康を維持することができる。

さらに、充実した生活が送れるように、削減費用で生涯学習がおこなえる施設の建設や、各自治体の施設利用費軽減の財源に使用することがで、地域社会の活性化にもむすびつく。

子どもたちがスポーツを行う観点から

子どもたちの体力低下や運動時間の減少がニュースや新聞で取り上げられている。

実際、平成10年度の新体力テストでは緩やかな向上傾向であるが、昭和60年から継続実施している握力や投能力などの項目では、全体的に低い水準でとなっている。

しかし、2020年にオリンピックが日本で開催されることに加え、各自治体や各学校での取り組みにより、小学生と中学生が一週間に運動を420分以上おこなう人数が年々増えている。

子どもがスポーツをするということは、体力を促進、感染予防やストレス緩和の意義があることから、運動時間が増加するのは望ましい。また、小学生は420分運動するということは、学校教育で週150分~200分運動した場合、残りの220分~270分は、学校教育とは別の時間で運動していることになる。

例えば、公園や児童館で学年が違う子どもと遊ぶことや、各自治体の生涯学習でのスポーツイベントに参加することは、年代が違う人との関わり方を学ぶことができ、スポーツを通じて社会で必要な能力をみにつけることができる。

要するに、子供にとって生涯学習におけるスポーツは、体力の促進、感染予防やストレス緩和だけでなく人との関わり方や親や学校の先生意外の大人と接する機会でもあり、社会で必要な能力を養える観点からも、学校教育と学校教育以外でのスポーツ活動は必要である。

地域社会の観点から

都市部では孤独化が進み、地方では過疎化が進み、人との交流が少なくなる現状を変えるために、地域自治体での生涯スポーツの活動が重要な役割を担っている。

私が住んでいる〇〇〇では、100以上のスポーツ教室があり、様々な競技のスポーツ大会が開催されている。

また、家族でおこなう駅伝や世代を超えて参加できるマラソン大会など、スポーツを通じて人と交流できるイベントに参加することができる。

さらに、地域で地元をPRした地方自治体のマラソン大会では、健康保持や人との交流以外に観光客を誘致して、地域の復興にも役に立っている。

まとめ

生涯学習の観点から、日本社会におけるスポーツは、体力を促進、感染予防やストレス緩和に加え、国家の財政健全化や人との交流する機会、社会進出をするための能力を身に付ける場でもあり、さらには地域活性化など様々な分野にも影響を与えていることから、必要性はさらに増していくと考えられます。

生涯学習についての本は数多くあるのですが、生涯学習とスポーツの関係について詳しく書いているのは、『生涯スポーツ実践論―生涯スポーツを学ぶ人たちに』だけです。

図や表などが多く読みやすいので、興味がある方はぜひ手に取ってみてください。