高齢期の加齢による体力変化について~健康維持のための運動とは~

高齢期における体力の変化について

高齢者の体力の変化はライフスタイルにより変化します。

スポーツ庁による平成27年度体力・運動能力調査結果の概要では、新体力テストの合計平均点が、過去に週1日以上運動している人の方が週1日未満の人より、男子が3.2点・女子が3.8点高いです。

また、過去に運動経験がないが現在週1日以上運動している人は、週1日未満の人より男子が3.0点・女子が3.8点高い結果となっています。

ADLテスト(1時間以上歩くことができるか)でも、過去又は現在運動している人がしていない人より、約20%多く1時間以上歩くことができています。

これらの結果からわかることは、運動しているのか、してないのかで、高齢者における体力の変化は異なります。

しかし、運動をしていても65歳以上になると体力は低下し、加齢いわゆる「老年病」と呼ばれる病気になります。

基礎体力衰退により筋肉・敏感性・平衡性・柔軟性は衰え、体格や姿勢も変化する。さらに、組織・臓器の衰退性萎縮による疾患で温度調節・免疫・適応力が低下します。

高齢期における体力の変化について

スポーツ丁の平成28年度体力・運動調査結果の概要の調査結果をもとに、高齢期における体力の変化について説明します。

筋肉(筋力)に関する、握力

握力は、男子は30~34歳の47.38キロ、女子は35~44歳の28.95キロをピークに弱くなり、高齢者となる65歳の握力は男子で40.04キロと16歳と同じ強さで、女子は25.14キロと14歳と同じ握力まで低下する。

 

さらに男性は75~79歳の握力は35.36と14歳と同じ強さとなり、女性は22.78と12歳と同じ強さまで低下する。

俊敏性に関する反復横跳び
反復横跳びは、男子は17歳の58.68回、女子は14歳の48.75回をピークに飛べる回数少なくなり、男子は64歳で40.81回と9歳と同じ回数となり、女子は64歳で35.78回と8歳と同じ回数まで飛べる回数が減る。
柔軟性に関する、長座体前屈
長座体前屈は、男子17歳の51.64cm、女子は16歳の47.83cmがピークで、男子は75~79歳の長座体前屈は34.75cmと10歳と同じ距離となり、女子は38.48cmと10、11歳と同じ距離となる。

これ以外にも、上体起こし、20メートルシャトルラン、立ち幅とびでピークの時期は種目により異なるが、握力以外は14~18歳がピークでその後緩やかに運動能力が低下します。

さらに、65歳以降になると、すべてのテスト項目で数値が10~15歳と同等になります。体力テストのデーターは項目によっては64歳、最高でも79歳までしかないが、データーから考察するに年を重ねるほど、数値が低くなり体力が低下すると考えられる。

組織や臓器も使われ続け衰退することから、単に体力が低下するのではなく、体力を回復する能力や体力を維持するための高強度の運動ができなくなる。

しかしながら、運動する人の方が体力を維持できているのは事実です。最後に高齢者が健康を維持してクオリティーオブライフをおくるために、どのような運動を行えばよいか説明します。

健康維持のためどのような運動をすればよいか

先ほども説明しましたが、高齢者の体力や自然回復力は低下するために、激しい運動は危険を伴い個人に適した運動を行う必要性があります。

厚生労働省の健康日本21では、高齢者に対する個人目標として、年齢や能力に応じて

  1. ストレッチや体操を1日10分程度行う
  2. 散歩ウォーキングを1日20分程度行う
  3. 下肢および体幹部の筋力トレーニングを1週間に2回程度行う
  4. レクレーション活動や軽スポーツを1週間に3回程度行う、うち1つ以上行うことが目標

とされています。

クオリティーオブライフを維持する運動という観点では、特に生活で必要となる移動に関する「立つ、座る、起き上がる」起居動作「歩く、走る、階段の上り下り」に関する運動が重要になります。

これらに必要な筋肉・平衡性・柔軟性の維持又は向上させるために、体への負荷がかかりすぎないストレッチとウォーキングが効果的であるとされています。

ストレッチでの、

  1. 上体おこしや上半身の捻転運動
  2. 大腿背部、股関節、腰のストレッチング
  3. 膝関節の伸展運動やスクワット
  4. 股関節の屈曲運動
  5. 足関節の背屈運動と底屈運動

は自宅でも気軽にでき筋力・平衡性・柔軟性を維持向上させることができ、さらにウォーキングをすると筋力や平衡性以外にも持久力をつけることができる。

これ以外にも、レクレーションでのハイキング、ピクニック、キャンピング、旅行、ダンス、家庭菜園、ガーデニング、能力体力に応じた仕事、ボランティア活動も運動効果が期待できるされています。

もっと学びたい人へ

実際の運動についてさらに詳しく学びたい人は、実際に体を動かす本を読んでみましょう!!

学問的な視点から学びたい人は、生涯学習の視点から高齢期における体力変化・健康維持について学ぶといいでしょう!!