【特別活動の指導法(中高)】戦後の教育課程の変遷で、教科外活動はどのような位置づけなのか

こんにちはペンタマニア(@labhobby)です。

戦後の教育課程の変遷で、教科外活動はどのような位置づけなのかについてまとめました。

主な教科外活動

  • 学級活動
  • 児童会
  • 生徒会活動
  • クラブ活動
  • 学校行事

日本の学校教育では、特別活動は教科課程の一環として行われる。

教科外活動の目標

  • 集団生活
  • 心身の調和的発展
  • 個性の伸長
  • 自主的、実践的な態度の育成

 戦後の教育課程の変遷(教科外活動)

1945年8月15日

GHQにより軍国主義から民主主義国家への改革が実行された。教育においてはアメリカの教育使節団により調査が行われる。

1946年3月31日

GHQの報告書では、特別活動に関してのあり方は示されていないが、クラブ活動や児童会・生徒会の前身となる学内に委員会組織、生徒会、委員会やスポーツによる集団活動を設けることが言及されている。

1947年の第1次学習指導要領

学習指導要領一般編(試案)が作成され特別活動の基礎となる自由研究の科目が設けられた。

  1. 個人の興味と能力に応じた自由な学習
  2. クラブ活動による活動
  3. 当番や学級委員の仕事

を全体目標とした。

1951年の第2次学習指導要領

自由研究は廃止され小学校では教科以外の活動、中学校では特別教育活動が新たに設けられた。

改訂の重要なポイント

  • 第1に教育課程は教科と教科外の2領域により構成され、教科以外の活動と特別教育活動は教育外に当てはまり、正当な学習活動とされたこと
  • 第2に、自由研究の個人の興味と能力に応じた自由な学習は教科外で学ぶのではなく、各教育の学習時間内で目標を達成すること

1958年の第3次学習指導要領

第3次学習指導要領は、文化・産業・科学の発展による国民生活の向上、独立国としての認識、道徳教育や基礎学力向上が目的で教育課程の改訂がおこなわれた。

この改訂から、学習指導要領が文科省の告示形式となり法的拘束力をもつ文章となり、教育課程は教科と教科外の2領域から、教科、道徳、特別教育活動、学校行事の4領域に構成が変更された。

特別教育活動と学校行事は別領域にされ、特別教育は、児童会活動・学級会活動・クラブ活動おこない、学校行事は儀式、保健体育的行事、遠足、その他の内容が含まれ、日の丸、君が代が復活している。

教科と道徳に関しては学校教育法施行規則で年間最低授業時間が定められているが、特別教育活動と学校行事に関しては教科と道徳の最低授業時間を下らないようにする授業時間を配当することが望ましいとされており、特別教育活動と学校行事が教育や道徳よりも重要視されていないと考察することができる。しかし、法的拘束力をもつことにより、特別教育活動と学校授業の立ち位置が確立されたことは重要なポイントである

1968年の第4次学習指導要領

第4次学習指導要領は国民の教育基盤を充実させるために実施された。

教育課程は教育、道徳、特別教育活動、学校行事の4領域から、教育、道徳、特別教育活動と学校行事を統合した特別活動の3領域に再編成され、この編成は現在にまで至っている

特別活動の目標では小学校と中学校では「望ましい集団生活」が強調され集団による活動が意識されている。

また、学校行事の内容が小学校と中学校ともに具体的になっている。

特別活動は1958年の改訂よりは具体的になっているが、授業時間に関しては明確に示されておらず、まだ教育や道徳と同等の位置づけはされていない。

1977の第5次学習指導要領

第5次学習指導要領では、学習内容を盛り込みや知識の詰め込みにより、教育荒棄現象がおきたことから、「ゆとり」というキーワードが盛り込まれ、「ゆとり」あるしかも充実した学校生活を可能にする教育課程実現を目標とした。

特別活動は各学年ごとに授業時間が明確に示された。このことにより、教育課程においての教育、道徳、特別活動が法的にも時間的にも初めて同等の位置づけとなった。

1989年の第6次学習指導要領

日本が情報化、国際化、高齢化、核家族などの社会の変化のなかで主体的に対応できることが重要であるとして第6次学習指導要領の改訂がおこなわれた。

教育課程の領域の変化はなかったが、特別活動の内容が組み替えがおこなわれ、集団活動や勤労生産・奉仕的行事による体験的な活動を重視する内容となった。

1998年の第7次学習指導要領

第7次学習指導要領は学校教育のいじめや不登校、社会の少子高齢化や情報化の背景から改訂がおこなわれた。

ゆとりの中で生きる力を育むことが基本方針となり、小学校の教育課程は3領域から総合的な学習の時間を加えた4領域となった。

特別活動は小学校では学級活動だけに授業時間を充てることになり、高学年の授業時間は70時間から35時間に半減し、中学校は35~70時間を一律35時間とした。

2008年の第8次学習指導要領

第8次学習指導要領ではゆとり教育による学力低下が問題となり、学力向上のための改訂がおこなわれた。

特別活動においては、1989年改訂の体験的に活動を重視する内容をより具体的にして、体験を通じて学んだことを文章でまとめたり発表する活動がおこなわれ社会参加による社会性の育成が重視されている。

参考文献